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紙の本が読めない 読み難い状況とその原因

MURATA Makoto edited this page Jul 9, 2018 · 16 revisions

牧尾, 村田, 吉村試案

CC0
APLこの文書「紙の本が読めない/読み難い状況とその原因」のすべての著作権を放棄する。 この文書は 日本で出版された。


紙の本が読めない/読み難い状況

本を手で持ってページをめくることが困難

原因: 上肢障害、脳性マヒ等、手や腕の怪我、感覚過敏、両手塞がり、電車内、無菌室

眼で読むのが困難

原因: 全盲、弱視、学習障害、夜間、運転中、料理中など

備考: 学習障害には、学習障害には、視機能障害を併せ持つ人もいる。

眼でも読めないし、読み上げられても聞こえない

原因: 盲聾

文字が小さすぎる/大きすぎる

原因: 弱視、学習障害、加齢等

字体によっては読みにくい

原因: 弱視、学習障害等

文節の区切りが解らない

原因: 弱視、学習障害等、日本語を母語としない人

色の選択によっては読みにくい

原因: 弱視、学習障害等

縦書きだと読めない、または横書きだと読めない

原因: 学習障害

画面内で読める範囲がとても狭い

原因: 弱視(視野欠損)

読んでいる場所が分からなくなってしまう

原因: 学習障害、注意欠陥障害

日本語を聞けば理解できるけど、読めない

原因: 日本語を母語としない人等

幻聴・幻覚により音声のない本を読むことが困難

原因: 精神障害等

文字と文字や行と行がつながって見えてしまう、文字が歪んだりぼやけたり揺らいだりする、逆さ文字に見える等。

備考:「ディスレクシアの教師として生きること」(神山忠)ディスレクシアとは?(南雲明彦オフィシャルウェブサイトの一部)を参照。

原因: 学習障害


対策

EPUBコンテンツ作成のときに行う対策

備考: EPUBリーダでも対策がなされないと意味がない

  • テキスト/代替テキスト:画像でできたコンテンツは、読み上げソフトが使えないし、拡大すると画面からはみ出してしまうので、EPUBにはテキストデータが必要である。

  • 見出し等の情報の付加(視覚障害者がナビゲーションするため)

  • 文字と音声が同時に提示される図書(Media Overlay)

  • 音声DAISY

  • 動画には音声と字幕によって内容を解説する

  • 手話動画を入れる

  • 点字を入れる

  • SSMLを入れる

  • 数式をMathMLかLaTeXで表現する

  • スタイルが固定されていないEPUB (備考: これはいらないかも知れない。EPUBリーダが、EPUB出版物にあるスタイルを無視すればいいのだから。)

EPUBリーダでの対策

  • DRMがOS及び支援技術のアクセシビリティ機能を阻害しない

  • 指一本で操作できるスイッチや、目の動きだけでコンピュータを操作できる視線入力等の支援機器をEPUBリーダに接続する

  • 読み上げ(T2S)をEPUBリーダまたはスクリーンリーダによって行う

  • 録音された音の再生スピードや音程を変える

  • 章、節、段落単位での移動

  • 文字を拡大する

  • 字体を変える(ユニバーサルデザインフォントを用いるなど)

  • 分かち書きをする

  • 文節ごとに文字のベースラインを変える

  • 文節の途中で改行しない。

  • 背景色と文字色を変更する

  • ルビを親文字とは別の色で表示する。

  • 行間・文字間隔を変更する

  • 縦書きのものを横書きで表示する、およびその逆

  • 画面内でテキストを表示する範囲を極端に狭いようにレイアウトを変更する

  • 点字ディスプレイによる表示


プリント・ディスアビリティ

上述した状況を作り出す原因を、プリント・ディスアビリティと言う。以下ではさまざまの種類のプリント・ディスアビリティと国内対象者数について示す。なお、これらのプリント・ディスアビリティが必ず上述の状況を引き起こすというわけではない。

肢体不自由者

内閣府 平成25年版 障害者白書では約176万人。

視覚障害者

内閣府 平成25年版 障害者白書では 約31.5万人

日本眼科医会の調査結果によると視覚障害者は約164万人であり、そのうち ロービジョン者は144万9千人、失明者は18万8千人である。

学習障害者

文部科学省 平成24年 「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」では約570万人

高齢者

総務省 平成28年 統計からみた我が国の高齢者では約3461万人。

知的障害者

内閣府 平成28年度 障害者白書では約74.1万人。

精神障害者

内閣府 平成28年度 障害者白書では約392.4万人。

高次脳機能障害者

高次脳機能障害情報・支援センター 平成20年では約50万人。

盲ろう者

社会福祉法人全国盲ろう者協会 平成24年度 盲ろう者に関する実態調査報告書では、視覚と聴覚の両方の障害の身体障害者手帳を交付されている13,952 名を確認している。

外国人子弟

文部科学省 平成28年 「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成 28 年度)」の結果について」では、34,335 人の外国籍の児童生徒が 日本語指導が必要なことを確認している。

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