From db4879a322a8014829af7ed1cc07cecfe9d6f15b Mon Sep 17 00:00:00 2001 From: KobayashiToshi <43767676+KobayashiToshi@users.noreply.github.com> Date: Sat, 20 Jul 2024 12:15:27 +0900 Subject: [PATCH] =?UTF-8?q?Update=203=5F=E8=A1=8C=E3=81=AE=E7=B5=84?= =?UTF-8?q?=E7=89=88=E5=87=A6=E7=90=86.md?= MIME-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=UTF-8 Content-Transfer-Encoding: 8bit --- ...04\347\211\210\345\207\246\347\220\206.md" | 233 +++++++++++++++--- 1 file changed, 193 insertions(+), 40 deletions(-) diff --git "a/drafts/3_\350\241\214\343\201\256\347\265\204\347\211\210\345\207\246\347\220\206.md" "b/drafts/3_\350\241\214\343\201\256\347\265\204\347\211\210\345\207\246\347\220\206.md" index e6005e6..4710dd4 100644 --- "a/drafts/3_\350\241\214\343\201\256\347\265\204\347\211\210\345\207\246\347\220\206.md" +++ "b/drafts/3_\350\241\214\343\201\256\347\265\204\347\211\210\345\207\246\347\220\206.md" @@ -174,7 +174,6 @@ JLReqでは,日本語の漢字や仮名について,その文字の外枠を 以下のような場合に,この空白の調整が必要になる. - a 中点類と括弧類が連続する場合 注 中点類との連続 中点類と句読点が連続する組合せとなる例は少ない.この場合は,使用する状況にもよるが,それぞれの字幅で配置していけばよい(字間の調整は行わない). @@ -357,43 +356,193 @@ eは,行頭(改行行頭及び折返し行頭)の括弧類の前の空白 ただし,行長が短い場合など,行の調整処理での字間の調整箇所が目について,違和感を与えることもあるので,こうした場合は,小書きの仮名や長音を行頭に配置する許容も考えられよう. -## 3.5 行の調整処理 +## 3.5 文字間での分割と行の調整処理 + +### 3.5.1 文字間での分割の可否 + +文字を行に配置する場合,設定された行長に達したところで文字間で分割し,次行に配置することになる.この2行にわたる分割(以下,分割という)は,漢字や仮名のどこの字間でもほぼ可能である. + +ただし,意味の上で,あるいは,その文字の役割から分割できない文字の組合せがある.さらに,見た目のバランスから,行頭又は行末の配置を避けたい文字等がある.こうした文字等では,前の文字等又は後ろの文字等との分割を禁止することで,行頭又は行末の配置を避けることができる. + +このような分割を避けたい箇所として,主な事項には,次のようなものがある. + +1 始め括弧類と,その次に配置する文字等の間 + +2 終わり括弧類と,その前に配置する文字等の間 + +3 句読点と,その前に配置する文字等の間 + +4 中点類と,その前に配置する文字等の間 + +注 中点の行頭配置 中点の行頭の配置を許容する方法もあるが,この場合は,中点類と,その前に配置する文字等の間で分割ができる. + +5 行中に挿入されるラテン文字の単語の字間,ただし,ハイフンを入れての分割処理は英語等の組版処理にならっている. + +6 横組で挿入される連続するアラビア数字の字間 + +注 ラテン文字又はアラビア数字を,縦組で文字を正常な向きに縦向きに配置する場合は,その文字間での分割は可能である.ただし,禁止する方法もある. + +7 小書きの仮名と,その前に配置する文字等の間 + +8 長音と,その前に配置する文字等の間 + +注 小書きの仮名又は長音と,その前に配置する文字等の間での分割を許容する方法もある(〓〓参照).これは主に行の調整処理を避けるためであり,また,行の調整処理により字間が調整されるのを避けるためである. + +9 繰り返し記号と,その前に配置する文字等の間 + +注 繰り返し記号は,現代文では“々”(同の字点,U+3005)がよく使用されている.これも行頭の配置(“々”とその前の文字との字間での分割)を許容するしている例が多い. + +その他,ルビがつく場合は,分割できない箇所もある(〓〓参照).Apendix〓に,分割の可否についての詳細を示した. + +さらに,アクセシビリティ等の向上の目的で,文節又は単語を分割禁止とする方法がある.この場合は,文節又は単語の文字間での分割は禁止となる. ### 3.5.1 行の調整処理の必要性 -行頭・行末そろえを選択した場合は,段落の最終行を除き,各行長を指定されて行長にそろえないといけない.行長を文字サイズの整数倍に設定した場合,字幅が文字サイズであれば,通常は行長に行長に過不足が生じない.しかし,行頭に配置することが禁止されている句読点や終わり括弧を避ける処理,その他,字幅が文字サイズでない文字が混植される場合は,行長に過不足が発生する.このために行の調整処理が必要になる. +行に文字を配置し,設定された行長に達したところで,文字間での分割可能位置で分割し,続くテキストは次行から配置する. + +ところで,こうして配置した行長に過不足が発生するケースがある.その場合,段落の配置処理で行頭・行末そろえ(justification)を選択した場合,各行の長さを設定した行長にそろえる必要がある.この処理を“行の調整処理”という. + +注 行頭そろえなどでの行の調整処理 行の調整処理は,段落の配置処理で行頭そろえなどを選択した場合は,原則として必要としない.しかし,段落末尾行において,わずかな行長のはみ出しがあった場合,詰める調整を行うという処理方法もある. + +この行の調整処理を発生させる原因を少なくすることがまず必要である.以下のような方法がとられている(こうした事項は,逆にいえば,行長の過不足を発生させる(行の調整処理を発生させる)原因ともなる). + +1 正方形の文字の外枠(ボディ)の場合は,行長を文字サイズの整数倍に設定にする.等幅フォントや文字を変形した場合は,そのフォントの全幅の整数倍に設定する. + +2 アラビア数字やラテン文字のように字幅が全幅でない文字以外に全角の文字を持っている場合がある.こうした場合,全角の文字を使用すれば,行の調整処理を発生させる原因を少なくすることができる.これは主に縦組で選択されている方法である. + +注 全角の文字の使用 全角の文字を横組又は縦組での文字を90度横転させて使用する場合,アラビア数字やラテン文字の字間が不必要に空いてしまうので望ましくない.こうした場合,プロポーショナルな文字や字幅が文字サイズの1/2のアラビア数字等を使用するのが原則である. + +3 句読点の行頭配置(分割禁止)を回避するためにブラ下ゲ組を採用する(〓項参照).また,行頭配置を禁止(分割禁止)する文字を減らす(〓項参照). + +4 句読点や括弧類などが連続する場合,それぞれの文字を字幅を全幅として配置していく.これも,あまり望ましい配置ではないが,選択肢としては考えられよう. + +5 行頭に配置する括弧類の字幅を全幅とする(〓項参照) + +行の調整処理は,いってみれば回避したい処理ではあるが,一般的には,見た目のバランスを優先させると避けることができない処理になる.特に3, 4, 5項は,行の調整処理が発生することがあったとしても,それを回避する処理を選択しない方針を採用している例が多い. ### 3.5.2 詰める処理と空ける処理 -詰める処理(追込み処理)は,句読点の後ろ,括弧類の前後,中点類,欧文間隔などの規定されている字間を,優先順位に従って既定の範囲内で詰める処理を行う. +#### 3.5.2.1 詰める処理 + +詰める処理(追込み処理)は,句読点の後ろ,括弧類の前後,中点類,欧文間隔などのについて,規定されている字幅での配置について,優先順位に従って既定の範囲内で詰める処理を行う. + +なお,ラテン文字の複数の単語を挿入する場合,これらの単語間の語間を優先的に調整に使用しているが,ここでは,日本語組版の問題を主にすることから,詳細はふれないこととする. + +詰める処理の主な事項としては,以下のような例がある. + +1 読点(U+3001)又はコンマ(U+FF0C)の後ろを詰める.詰める限界値は全幅の1/2までとする方法と,1/4までまでとする方法がある. + +注 句点(U+3002)又はピリオド(U+FF0E)の後ろは詰める処理が可能であるが,一般に文の区切りとしての役割が強いので詰める調整には使用しないとされている.しかし,読点などど同様に詰める調整に使用している例もある. + +2 始め括弧類の前又は終わり括弧類の後ろを詰める.詰める限界値は全幅の1/2までとする方法と,1/4までまでとする方法がある. + +注 句読点や括弧類を詰める場合,句読点や括弧類が連続する場合にも,その空白は詰める. + +3 中点類の前及び後ろを詰める.詰める限界値は全幅の1/4までとする. + +4 和文とラテン文字の間を全幅の1/4だけ空ける方針の場合,全幅の1/8まで詰める. -空ける処理(追出し処理)は,欧文間隔など規定の範囲内で空けることが許されている箇所や,行の調整処理で字間を空ける処理が許容されている箇所の字間について,優先順位に従って空ける処理を行う. +5 行末に配置する,以下の読点などの後ろを全幅の1/2だけ詰める.文中での句点(U+3002)の後ろは詰めないとする方針であっても,行末では,次に配置するテキストがないので,詰めてもそれほど影響がないという考え方による.文中での読点などの詰める限界値を全幅の1/4とする方針の場合も同様である. -これまでは,詰める処理を優先して行い,詰める処理で解決できない場合に空ける処理を行っていた.これは,できるだけベタ組を維持したいということもあるが,詰める処理の方が,空ける処理より処理箇所が少なくて処理できるという活字組版における技術的な制限からきていた. +- 読点(U+3001)又はコンマ(U+FF0C) -デジタルテキストでは,空ける処理は自動的に処理でき,かつ,微細な単位で空ける処理ができるので,詰める処理は行わないで,空ける処理のみで行の調整処理を行うという方法が考えられる.詰める処理は,処理箇所は少ないが,複雑な点もあり,空ける処理のみで行うということで,読みやすさの面での品質を保ちながら,ある程度の組版処理ルールの単純化を行うことが可能になる. +- 句点(U+3002)又はピリオド(U+FF0E) -### 3.5.3 詰め組における行の調整処理 +- 終わり括弧類 -詰め組(プロファイルな文字の配置)における行の調整処理には,確立された方法はない.そもそも括弧類や句読点の配置方法も確立されていない.また,詰め組(プロファイルな文字の配置)では,約物を含めて,視覚的に文字間を最適にしようとする処理である. +注 行末の句読点の調整 行末の句読点を詰める場合は字幅の1/2であり,中間値は通常は行わない.ただし,このような処理は,活字組版の技術的な制約による慣習であり,今後は中間的な値にする処理方法も検討される必要があろう. -このような事情を考慮すれば,行頭・行末そろえではなく,行頭そろえを選択するということがまず検討される必要がある.しかし,行頭そろえは,各行の末尾がそろわないという問題があり,視覚的に整った印象を与えるために行頭・行末そろえが選択される場合もあり,その際には行の調整処理が必要になる. +6 行末に配置する,中点類の前後又は後ろをを詰める.この場合,次の2つの方法がある. -詰め組(プロポーショナルな文字の配置)における行の調整処理は,約物のアキは,最適になるようにアキが決まっているということを前提とすると,詰める処理は行わないで,空ける処理だけで処理するという方法が考えらえる. +- 中点類の後ろだけも全幅の1/4だけ詰める.この場合,中点類の前後の空白が不ぞろいになるという問題がある. + +- 中点類の前及び後ろを全幅の1/4だけ詰める.この場合の中点類の字幅は全幅の1/2となる. + +詰める処理の詳細な1つの例を,Apendix〓に示した. + +#### 3.5.2.2 空ける処理 + +空ける処理の主な事項としては,以下のような例がある. + +1 和文とラテン文字の間を全幅の1/4だけ空ける方針の場合,全幅の1/2まで空ける. + +2 分割禁止等の箇所を避け,次のような空ける処理は可能な箇所を均等に空ける. + +- 平仮名又は片仮名が連続する字間 + +- 漢字が連続する字間 + +- 平仮名又は片仮名と漢字が連続する字間 + +3 2で処理で個々の字間での空ける量が一定量を超えた場合は,その他の分割禁止等の箇所等を含めて均等に空ける. + +空ける処理の詳細な1つの例を,Apendix〓に示した. + +#### 3.5.2.3 行の調整処理の優先順位 + +行の調整処理の優先順位としては,次のような例がある.(ここでは,前項の処理の記号を用いて表現してもよい.) + +A 詰める処理を優先し,以下の順序で字間を詰める.なお,(1)の処理を行わない方法もある.さらに,(2)で詰める箇所として句点を含める方法もある. + +1 和文とラテン文字の間を全幅の1/8まで詰める. + +2 行末の読点や括弧類の後ろを全幅の1/2詰める(字幅を全幅の1/2とする). + +3 行中の句読点(句点を含む)や括弧類の後ろを全幅の1/2まで,中点類の前後を全幅の1/4まで詰める.(括弧類を優先し,句読点の優先順位を低くする等,詰める対象に優先順位をつける方法もある.) + +4 以上の3までで処理できない場合は,詰める処理を行わないで,空ける処理を次の順序で行う. + +4-1 和文とラテン文字の間を全幅の1/2まで空ける. + +4-2 漢字や仮名などの字間を均等に空ける. + +4-3 4-2の処理で個々の字間での空ける量が一定量を超えた場合は,その他の分割禁止等の箇所等を含めて均等に空ける. + +B 詰める処理を優先するが,詰める量の限界値を小さくする.以下の順序で字間を詰める.この方法は,読点や括弧類の調整量が全幅の1/2では大きすぎて,そこまで詰めると詰まった印象を与えるので,それを避けたいということで考えられた方法である. + +1 行末の読点や括弧類の後ろを全幅の1/2詰める(字幅を全幅の1/2とする). + +2 行中の読点や括弧類の後ろを全幅の1/4まで詰める. + +3 以上の2までで処理できない場合は,詰める処理を行わないで,空ける処理を次の順序で行う. + +3-1 漢字や仮名などの字間を均等に空ける. + +3-2 3-1の処理で個々の字間での空ける量が一定量を超えた場合は,その他の分割禁止等の箇所等を含めて均等に空ける. + +C 行末の句読点や括弧類は詰めるが,行中での詰める処理を行わない.以下のような優先順位となる.1を行わなければ,空けるだけの処理となり,さらに処理方法は単純になる. + +1 行末の読点や括弧類の後ろを全幅の1/2詰める(字幅を全幅の1/2とする). + +2 1で処理できない場合は,詰める処理を行わないで,空ける処理を次の順序で行う. + +3 漢字や仮名などの字間を均等に空ける. + +4 3の処理で個々の字間での空ける量が一定量を超えた場合は,その他の分割禁止等の箇所等を含めて均等に空ける. + +行の調整処理は,できれば避けたい処理であり,A, B, Cのどの方式がよいかは,何を重視するかで変わる.字間が乱れることはできるだけ避けたいと考えればAになり,句読点や括弧類の前後のある空白の乱れはできるだけ避けたいと考えればCになり,Bは,その折衷的な方法である. + +注 詰める処理を優先 従来は,詰める処理を優先して行い,詰める処理で解決できない場合に空ける処理を行うという方法がよく選択されていた.これは,できるだけ文字の外枠(ボディ)を密着した配置方法を維持したいということもあるが,活字組版における技術的な制限からきていた.それは,活字組版では,詰める処理の方が,空ける処理より処理箇所が少なくて処理できるという事情があった.デジタルテキストでは,空ける処理は自動的に処理でき,かつ,微細な単位で空ける処理ができるので,詰める処理は行わないで,空ける処理のみで行の調整処理を行うという方法が考えられる.詰める処理は,処理箇所は少ないが,複雑な点もあり,空ける処理のみで行うということで,読みやすさの面での品質を保ちながら,ある程度の組版処理ルールの単純化を行うことが可能になる. + +注 プロポーショナルな文字の配置における行の調整処理 プロポーショナルな文字の配置における行の調整処理では,確立された方法はないといえよう.通常,プロポーショナルな文字の処理では,すべての行で行の調整処理が発生するので,字間の調整は行われる.そもそもプロポーショナルな文字の配置は,視覚的に文字間を最適にしようとする処理であるから,この字間の調整は望ましいとはいえない.このような事情を考慮すれば,行頭・行末そろえではなく,行頭そろえを選択するということがまず検討される必要があろう. ## 3.6 ラテン文字の処理 ### 3.6.1 和文文字とラテン文字の組合せ -和文文字とラテン文字は,文字設計の考え方が基本的に異なっている.つまり,和文とラテン文字はデザインの面からみると異質な文字である.それを組み合わせる組版では,いろいろな問題が出てくる.特に行送り方向の位置をそろえる問題については,活字組版時代から意見の相違があった.例えば,“和文に対して,ラテン文字を下げろ”,“下げるとおかしい”,“ラテン文字の文字サイズを大きくした方がよい”,“それはフォントを選ぶ際に注意すればよいことでしょう”,……,といったように,そこでは共通の認識に到達することは難しい面があった. +和文文字とラテン文字は,文字設計の考え方が基本的に異なっている.つまり,和文とラテン文字はデザインの面からみると異質な文字である.それを組み合わせる組版では,いろいろな問題が出てくる. + +注 和文とラテン文字の問題 特に行送り方向の位置をそろえる問題については,活字組版時代から意見の相違があった.例えば,“和文に対して,ラテン文字を下げろ”,“下げるとおかしい”,“ラテン文字の文字サイズを大きくした方がよい”,“それはフォントを選ぶ際に注意すればよいことでしょう”,……,といったように,そこでは共通の認識に到達することは難しい面があった. また,ラテン文字列が,大文字だけ,小文字だけ,しかも短字(a,c,eなど)だけと条件がそろっていれば,ある程度の正解はでてくる.あるいは装幀で本のタイトルを処理するように個別ケースで,文字の組合せが決まっており,しかも作業に時間を掛けることが可能な場合は,たぶん正解は出てくる.しかし,各種の字形が出てきて,しかも自動で機械的な処理をする場合は,ある程度の線で妥協しないといけない場合もある. -そこで,自動で機械的な処理を前提とした場合における,和文の明朝体とラテン文字を組合せる場合のフォントの選択についてまとめてみた. +そこで,自動で機械的な処理を前提とした場合における,まず和文の明朝体とラテン文字を組合せる場合のフォントの選択についてまとめてみた. + +1 和文の明朝体は画線の太さが一様でない(変化している)ので,それとそろえ,通常はラテン文字はローマン体を選ぶ. -1 和文の明朝体は画線の太さが一様でない(変化している)ので,それとそろえ,ラテン文字はローマン体を選ぶ. +2 明朝体の仮名とのバランスを考慮し,その線のカーブが似たものを選ぶ.例えば,ボドニーのように直線的な画線のフォントを選択しない方がよいであろう(漢字だけだと似ている感じはある). -2 明朝体の仮名とのバランス(明朝体の仮名は漢字の明朝体とは画線の設計が異なる点(その意味で仮名は明朝体とはいえないかもしれないが,漢字と合う仮名を作製してきた)を考慮し,その線のカーブが似たものを選ぶ.例えば,ボドニーのように直線的な画線のフォントを選択しない(漢字だけだと似ている感じはある). +注 明朝体の仮名は漢字の明朝体とは画線の設計が異なる点がる.その意味で仮名は明朝体とはいえないかもしれないが,漢字と合う仮名を作製してきた. 3 和文のゴシック体とラテン文字を組み合せる場合,以下の2つの方法がある. @@ -409,7 +558,7 @@ eは,行頭(改行行頭及び折返し行頭)の括弧類の前の空白 5 和文とラテン文字の字面の大きさを考慮する.通常は和文と混ぜて用いるラテン文字は小文字が多い.そこで,和文とラテン文字の小文字の大きさのバランスを考慮し,ラテン文字はできるだけ“x-height”の大きなものを選ぶ.もちろん,和文よりラテン文字のサイズを大きくする方法もあるが,通常は,同じサイズでよい. -6 和文フォントにはプロポーショナルのラテン文字を含んでいる例が多い(以下,付属文字という).そこで,ラテン文字に,この付属文字を選ぶか,別のラテン文字のフォントを選ぶかが問題になる.和文文字を組み合わせるラテン文字の条件を前述したが,付属文字は,そのことを考慮して設計されていると思われる.その意味では,通常は,この付属書体を選べばよい.もちろん,その付属書体を使用しないで,別のフォントを選ぶことも可能であるが,その選択は,それなりに経験のいることであり,それをデフォルトとする必要はないであろう. +6 和文フォントにはプロポーショナルのラテン文字を含んでいる例が多い(以下,付属文字という).そこで,ラテン文字に,この付属文字を選ぶか,別のラテン文字のフォントを選ぶかが問題になる.和文文字を組み合わせるラテン文字の条件を前述したが,付属文字は,そのことを考慮して設計されていると思われる.その意味では,通常は,この付属書体を選べばよい.もちろん,その付属書体を使用しないで,別のフォントを選ぶことも可能であるが,その選択は,それなりに経験のいることである. なお,横組において,和文文字と組合せて使用するラテン文字は,原則としてプロポーショナルなラテン文字を使用する.正方形の文字の外枠が文字サイズとなるラテン文字を使用すると,ラテン文字の文字間が空いてしまうからであり,これは読みやすさを損なう. @@ -423,55 +572,59 @@ eは,行頭(改行行頭及び折返し行頭)の括弧類の前の空白 - 和文文字にベースラインが設定されている場合(例えば,文字の外枠上端から88%の位置),その位置とラテン文字のベースラインとをそろえる. - ラテン文字のベースライン位置を和文文字の適切な位置に設定する. -### 3.6.2 和文文字とラテン文字の字間 +### 3.6.3 和文文字とラテン文字の字間 + +フォントにもよるが,ラテン文字の字詰め方向の字面と文字の外枠との空白(サイドベアリング)は,和文文字より狭いのが一般的である.そのような和文文字とラテン文字を文字の外枠(ボディ)を密着させて配置すると,和文とラテン文字の字間が詰まった印象を与える.そこで,和文とラテン文字の間を空けるか,空けないか,空けるとすればどの程度はが問題となる.以下のような事項を考慮して選択するとよい. + +1 和文のフォントの字面の大きさ.文字の外枠(ボディ)に対して,そのフォントの平均的なサイズが大きい場合は,視覚的な和文の文字間は狭くなるので,それとのバランスから,空ける量は狭くてよく,空けないという選択もありえる. -フォントにもよるが,ラテン文字の字詰め方向の字面と文字の外枠との空白(サイドベアリング)は,和文文字より狭いのが一般的である(1字1字の独立性がややある和文文字と主に単語を単位に読んでいくラテン文字との差異による).そのような和文文字とラテン文字をベタ組で配置すると,和文とラテン文字の字間が詰まった印象を与える.そこで,活字組版時代には,和文とラテン文字の字間として四分アキにしていた.今日では,この和文とラテン文字の字間は,必ずしも四分アキにする必要はないが,なんらかのアキを確保するのが望ましい.(組合せのパターンもラテン文字1字の場合,単語の場合,複数の単語の場合,文字種もアラビア数字,小文字,大文字といったように各種のパターンがあり,一律の処理を前提にしたときは,個別ケースでは多少はバランスを欠く配置となるケースも出るが,それはやむを得ないことであろう.) +2 挿入されるラテン文字は,1字か,単語か,複数の単語かによっても,適切な字間は変わってくる.後者になるほど空ける量は大きい方が望ましくなる.機械的な処理では,個々のケースごとに決めることはできないので,テキストの状況から判断する. -最近では,和文と欧文との字間を八分程度にしたものも見かける. +3 従来の慣行に従うかどうか.従うとすれば,従来の一般的な方法である字幅の1/4だけ空ける. -コンピュータ組版では,この字間を変更することも可能である.そこで,ある程度の範囲で選択できるとよい. +注 従来の方法 従来の一般的な方法である字幅の1/4という量は,活字組版の技術的な制約による.印刷所で一般に常備されていた最小のスペース(活字の字間に挿入し,空白をつくる材料)は,文字サイズの1/4であった.文字サイズによっては,1/6や1/8,あるいは1ポイントというスペースも使用されていたが,必ずしも各印刷所に常備されていなかった. -### 3.6.3 和文文字とアラビア数字 +### 3.6.4 和文文字とアラビア数字 和文文字とアラビア数字を組合せる場合,例えば付属文字を使用するかしないかなど,ラテン文字との組合せと同様な問題がある.それに加え,アラビア数字の字幅の問題がある. -横組で和文文字と組合せるアラビア数字の字幅は,活字組版では,多くが二分(等幅)であった.和文文字フォントでは,等幅であるものが多いが,字幅は必ずしもの二分でないものがある. +横組で和文文字と組合せるアラビア数字の字幅は,活字組版では,多くが字幅が文字サイズの1/2(等幅)であった.和文文字フォントの付属文字では,等幅であるものが多いが,字幅は必ずしもの二分でないものが多い. -ラテン文字と和文文字の字間を四分アキにする場合,アラビア数字と和文文字の字間も四分アキにする.この場合,字幅が二分のアラビア数字は,いくらかのメリットがある.OpenTypeフォントでは,二分(等幅)の字幅のアラビア数字が選択できるので,それを利用する方法がある. +ラテン文字と和文文字の字間を全幅の1/4の空白をとるとした場合,アラビア数字と和文文字の字間も全幅の1/4の空白をっをとる.この場合,字幅が全幅の1/2のアラビア数字は,いくらかのメリットがある.OpenTypeフォントでは,文字サイズの1/2(等幅)の字幅のアラビア数字が選択できるので,それを利用する方法がある. -注 字幅が二分のアラビア数字 二分(等幅)の字幅のアラビア数字は,奇数桁の数字の場合,前後を四分アキにしても,行長に半端がでなかったという点が考慮されていたものと思わます. +注 字幅が文字サイズの1/2のアラビア数字 こうしたアラビア数字は,奇数桁の数字の場合,前後に1/4の空白をとると,行長に過不足がでなかったという点が考慮されていた. -注 正方形の文字の外枠が文字サイズのアラビア数字 正方形の文字の外枠が文字サイズのアラビア数字がある.横組でも,1桁に限り,この正方形の文字の外枠が文字サイズのアラビア数字を使用する方法がある.ただし,この正方形の文字の外枠が文字サイズのアラビア数字は,字面に対し,文字の外枠にいくらかの余白がある.したがって,この数字を利用使用する場合,句読点の前後,括弧の内側などに配置するとき,余分な余白が発生するという問題がある. +注 字幅が文字サイズとなるアラビア数字 字幅が文字サイズとなるアラビア数字(文字の外枠は正方形)がある.横組でも,1桁に限り,このアラビア数字を使用する方法がある.ただし,この文字の外枠が正方形のアラビア数字は,字詰め方向にいくらかの余白がある.したがって,この数字を使用する場合,句読点の前後,括弧の内側などに配置するとき,余分な余白が発生するという問題がある. -### 3.6.4 縦組におけるラテン文字の処理 +### 3.6.5 縦組におけるラテン文字の処理 -2 縦組の処理 +縦組において,ラテン文字又はアラビア数字を使用する場合,次のようなの方法がある. -縦組において,ラテン文字又はアラビア数字を使用する場合,次のようなの方法がる. +a ラテン文字又はアラビア数字を横転して配置する.この場合は,原則として横組と同じ処理になる.プロポーショナルの欧字又はアラビア数字(等幅のアラビア数字を含む,以下同じ)を使用し,和文との間は一定の空白を確保するか選択する必要がある(〓項参照). -(1)ラテン文字又はアラビア数字を横転して配置する.この場合は,原則として横組と同じ処理になる.プロポーショナルの欧字又はアラビア数字(字幅が二分等の等幅のアラビア数字を含む,以下同じ)を使用し,和文との間は一定のアキを確保する. +b ラテン文字又はアラビア数字を縦向きに配置する.この場合は,以下のような方法がある. -(2)ラテン文字又はアラビア数字を縦向きに配置する.この場合は,以下のような方法がある. +1 プロポーショナルのラテン文字又はアラビア数字を使用し,書式の設定で縦向きにする. -(a)プロポーショナルのラテン文字又はアラビア数字を使用し,書式の設定で縦向きにする. +2 字幅が文字サイズのラテン文字又はアラビア数字を使用する.この場合は書式を設定しなくても縦向きに配置する.ラテン文字またはアラビア数字が1字の場合は,一般にこの方法により配置する.また,ラテン文字で大文字だけの頭字語では,一般にこの方法により配置する(字数が多い場合は1にする方法もある).アラビア数字で3桁以上の場合は,この方法を採用する例が多い. -(b)正方形の文字の外枠が文字サイズのラテン文字又はアラビア数字を使用する.この場合は書式を設定しなくても縦向きに配置する.ラテン文字またはアラビア数字が1字の場合は,一般にこの方法により配置する.また,ラテン文字で大文字だけの頭字語では,一般にこの方法により配置する(字数が多い場合は(a)にする方法もある).アラビア数字で3桁以上の場合は,この方法を採用する例が多い. +3 縦中横機能を使用し,縦向きにする.アラビア数字が2桁の場合は,この方法を採用する例が多い. -(c)縦中横機能を使用し,縦向きにする.アラビア数字が2桁の場合は,この方法を採用する例が多い. +テキストの内容や目的に応じて,どの方法かを選択する. -以下のケースは,テキストの内容や目的に選択する. +- 頭字語で小文字が含まれる場合,2とする例が多いが,1とする方法もある. -- 頭字語で小文字が含まれる場合,bとする例が多いが,aとする方法もある. +- 大文字だけで,複数の単語(語間がある)場合,1にする方法と2とする方法がある.1の場合は,語間は欧文語間(又は全幅の1/2)にする方法と全幅の1字分にする方法がある. -- 大文字だけで,複数の単語(語間がある)場合,aにする方法とbとする方法がある.aの場合は,語間は欧文語間(又は二分アキ)にする方法と全角アキにする方法がある. +- 単語が大文字で始まる場合,1とする例もあるが,2とする例もある. -- 単語が大文字で始まる場合,aとする例もあるが,bとする例もある. +大文字だけの単語または頭字語でイタリック体の場合,1とする方法と2とする方法がある. -大文字だけの単語または頭字語でイタリック体の場合,aとする方法とbとする方法がある. +注 小文字を含んだ単語を縦向きにする 小文字を含んだ単語を縦向きにする場合,短字と長字が並ぶと字間が異なる.OpenTypeフォントの'palt'と'vpalなど'の機能を利用して,字間を調整するとよい. -注 小文字を含んだ単語を縦向きにする 小文字を含んだ単語を縦向きにする場合,短字と長字が並ぶと字間が異なる.OpenTypeフォントの'palt'と'vpal'の機能を利用して,字間を調整するとよい. +なお,縦向きにした場合の和文文字との字間 Aやaといったラテン文字が1文字で入る,又はOECDなどを縦向きに配置する(縦中横機能を使用する)場合を含め,和文文字との字間を空ける必要はない.ラテン文字やアラビア数字は,文字の外枠に対し,その上下には,いくらかの余白はあるからである. -なお,縦向きにした場合の和文文字との字間 Aやaといったラテン文字が1文字入るときや,OECDなどといった場合,縦向きに配置する場合,縦中横機能を使用する場合を含め,和文文字との字間を空ける必要はない.ラテン文字やアラビア数字は,文字の外枠に対し,その上下には,いくらかの余白はあるからである. +また,OECDなどを,縦向きに配置する場合,それぞれの字間では2行にわたる分割は,一般に許容されている. ## 3.7 分かち組