From 8440c0125aff2a76de06820e26d5da93e68ef783 Mon Sep 17 00:00:00 2001 From: =?UTF-8?q?Yasuo=20Kida=20=EF=BC=88=E6=9C=A8=E7=94=B0=E6=B3=B0?= =?UTF-8?q?=E5=A4=AB=EF=BC=89?= <33173251+kidayasuo@users.noreply.github.com> Date: Mon, 18 Dec 2023 21:16:58 +0900 Subject: [PATCH] Create 1.4 Introduction to the Layout of Japanese Digital Text.md Moving jlreq-d drafts from wiki. --- ... to the Layout of Japanese Digital Text.md | 222 ++++++++++++++++++ 1 file changed, 222 insertions(+) create mode 100644 drafts/1.4 Introduction to the Layout of Japanese Digital Text.md diff --git a/drafts/1.4 Introduction to the Layout of Japanese Digital Text.md b/drafts/1.4 Introduction to the Layout of Japanese Digital Text.md new file mode 100644 index 0000000..0cd9487 --- /dev/null +++ b/drafts/1.4 Introduction to the Layout of Japanese Digital Text.md @@ -0,0 +1,222 @@ +## 1.4 日本語の組み方入門 + +この章は主に日本語の使い手、ユーザーの立場のための情報。日本語の使い手、一般ユーザーや、例えば多ヶ国語のドキュメントを用意しなければならない担当者、などが読みやすく美しい日本語にするための知識。できるだけ専門用語を避けて、中学生なら理解できる程度の平易な言葉で。第二章はもっと詳しく、主に仕様やテキストエンジンの作り手のための情報。どちらで何をカバーすべきかよく考える。節の順序は必要に応じて適切に変更。 + +### 1.4.1 欧文組版から見た日本語組版の特徴 + +ここではまず欧文などの外国語や算用数字の入らない、伝統的な日本語組版の特徴を述べる。 + +#### 印刷における日本語の文字と書記方法の特徴 +欧州の言語と比較したとき、印刷における日本語の文字と書記方法には組版に影響する二つの顕著な特徴がある。 + +1. 文字が統一した大きさの枠の形にデザインされる: ほとんどの日本語書体において、日本語の文字は統一した大きさの正方形の枠内、上下左右のほぼ90%-95%を使ってデザインされ、残りの小さいスペースは、文字と文字の間の空きとして使われている。 + +2. 行の折り返しやジャスティフィケーションの調整が単語間ではなく文字間で行われる: 欧文の場合は単語間にスペースがあり、行の折り返しやジャスティフィケーションの調整はこの単語間スペースで行われる。 + +これらの特徴のため、図に示すように(図)日本語組版では自然に文字がグリッド状に並び*1、行末が揃う。これが欧文組版にはない日本語組版の著しい特徴である。これは方形のグリッドに合わせて整然と書かれた文字の配列を尊重する傾向は、印刷以前にも日本や中国の書の伝統の内に見出される(図。九成宮醴泉銘?)が、西洋由来の金属活字が導入により精緻化された。 + +#### 行長を全角の整数倍とするジャスティフィケーションが基本となる +上記の特徴のため、日本語組版では行長を全角の整数倍とするジャスティフィケーションが基本となる。これは行長が全角の整数倍でない場合、全ての行で文字の間隔が設計された間隔からずれてしまうからである。行長が短い場合にこのずれが大きくなるため、行長の短い場合や、行長の予測のできないreflowable textで特に問題となる(例、欧文で字間の開いてしまっている例も)。 + +ジャスティフィケーションを行わない場合、多くの行で行末位置が自然に揃うが、*1に述べた例外のため一部の行のみ若干短くなる。これは欧文における行頭揃えの様相とは異なり、整った印象を与えない。(また字下げによってパラグラフを構成する場合に、一部の行のみが短くなることで、そこがパラグラフ末尾であるとの誤認が生じうる。)日本語組版においては、ジャスティフィケーションの及ぼす行内への悪影響が欧文組版の場合に比べてはるかに小さい。即ち、必要調整量は通常全角一文字分以下と小さく、その調整量が行全体に均等に分布するため、空きの増加量ははるかに少ない。リバーの問題は日本語組版では見られない。よって通常、日本語においてはジャスティフィケーションを行うメリットが、そのデメリットを上回る。 + +#### 縦書きと横書きが可能である +よく知られているように日本語が本来書かれる向きは縦方向である。しかし西洋文化の流入により、欧文との混植の必要性が増し、横書きもなされるようになった(ここ、事実チェック!)。文字が統一した大きさの正方形にデザインされるので、ちょうど四角い積み木のように、文字を縦にも横にも自然に並べることができる。対して、欧文のアルファベットにおいては、文字枠が長方形で、横方向のつながりが大きく、容易には縦書きにすることができない。混植の項を参照のこと。 + +#### より広い行間が必要 +日本語組版は、欧文に比べて大きな行間を必要とする。欧文においては、多くの文字の上下幅が小文字の x と同じで、小文字26文字のうち、アセンダーの位置まで伸びる小文字は6文字、ディセンダーの位置まで下がる文字は5文字に留まる。結果としてアセンダー、ディセンダーラインの間にも多くの空間が生まれ、視覚的に行間を広げる効果がある。対して和文においてはほとんどの文字が枠の90%-95%(数字確認)を用いてデザインされる。よって欧文に適当な行間では、和文では空間が不足する。 + +また、日本語にはルビや圏点といった行間に置かれる要素がある。このためにもある程度広い行間を確保する必要がある。 + +#### 注 +*1: 実際には、行の折り返しのできない場所があるため、行末が揃わない行も出現するが、多くの場合それは比較的少数である。 + +### 1.4.2 和欧混植 +横書きの混植で、1.4.1で述べた原則が崩れる場合を説明し、また混植をどのように行うかを説明する。和欧混植が現代日本語の当たり前な状態なので、「和欧混植」といったセクションは作りたくなく、単に「横書き」で済ませたいのですが、前の章との対比で混植を扱う章を作った方が良いと考えることもできます。まあ、後で考えましょう。 + +#### 上記の基本が当てはまらない場合*4 + +>binn:どうも,“上記の基本が当てはまらない場合”の内容が流れを阻害しているように感じる.“主に日本語の使い手”に必要な情報というより,“テキストエンジンの作り手のための情報”に近くないか? 以下の程度の止め,詳細は後の方がよくないか? + アルファベットや数字などのプロポーショナルかつ語単位のある要素が近年日本語に混じるようになった.また,仮名では字形を元に字間を調整する配置方法の例もある.これらへの対応を含め,日本語組版のあり方を考えていく必要がある(詳細は,以下で触れる). + +アルファベットや数字などのプロポーショナルかつ語単位のある要素が近年日本語に混じるようになった。これを混植という。特に例えば自然科学や経済学の専門書などにおいては多くの行にそれらの要素が現れ、よって多くの行で大きな調整が必要となる。このため、この性質を持つテキストにおいては、ジャスティフィケーションが日本語に対して自然に持っていた利点が混植の程度に応じて損なわれ、行頭揃えも合理的な選択の一つとなる。この場合には行長は全角の整数倍である必要はない。 + +(漢字と仮名の幅が異なるような書体や(例)、真にプロポーショナルな書体(例)も作られており、これらを使用するドキュメントの場合も行頭揃えが良い選択の場合もありそう。ただし、ワードスペースが無く、調整がすべての字間で行われる特徴のため、ジャスティフィケーションで文書がより美しく整うと言う特徴は保存される) + +#### 日本語の文字の並べ方(旧題:ベースラインの問題) +>木田: 導入としてのこの場所にふさわしい粒度と分量で、小学生にもわかるように、エッセンスだけを書く。混植の問題はここでは触れず、欧文組版に対比して日本語はどうか、だけ。 + +>binn:了解.この内容は,すべて2章かな? + + +>binn:というよりは,ここは欧文と和文の差異を問題としているので,以下のような展開も考えられます. + +>binn:この異質は欧文(ラテン文字)が日本語組版の中で,昔から使用されてきた(混植).最近は特に日本語組版の行中にラテン文字を含む例が増えている.この異質なものの組合せは,どんな問題を発生させるか.主なものとして以下のような例がある(詳細は“×××”で解説する). +・デザインの違いがある和文フォントと欧文フォントをどう組み合わせたらよいか.また,字面のバランスをとるために文字サイズは同じでよいか,欧文フォントはサイズを変えないといけないのか. +・ラテン文字が行長に含まれるケースが多い場合は,どう考えたらよいか.それは,上記でいうに日本語組版の持っていた文字サイズの整数倍の行頭と行頭・行末そろえという利点は相対的に低くなるので,行長を文字サイズの整数倍にする必要はあるか. +・文字間の分割方法と行の調整処理が基本的に異なる欧文の単語が行中に挿入される場合,2倍以上の調整量が発生し,和文の字間に目につくアキがでる場合がある.これはどう対処したらよいのか.そこでは従来の慣行とは異なる“行頭そろえ”という方法の選択も考えられるかもしれない. +・行中に入る 欧文の行送り方向に位置は,どう考えたらよいか.和文と欧文の行送り方向の位置の合せ方の問題である.およそ3つくらいの方法が考えられるが,どれを選択したらよいのか. +〈山本さんの説明が入る〉 +・縦組の中のラテン文字の向きをどうしたらよいか.文字が正常に読める縦向きにするのか,それとも時計回りに90度回転させて横向きにするのか.もちろん,これは一様ではなく,どんな文字か,あるいは文字列かにより異なる対応が必要になる. +・サイドベアリング(文字の外枠に対する字面の左右のアキ)のあり方は,日本語フォントと欧文ファントでは異なる.そこで,これらが並んだ場合の字間は,どうしたらよいのか. + +> 木田: 挙げていただいた問題はどれも「プロポーショナルかつ語単位のある要素」が入る結果ではないでしょうか? この子見出しは「行長を全角の整数倍とするジャスティフィケーションが基本」に対して付属的に、それが崩れることがあるよと説明する内容ですので、個々の詳細は細かすぎると思います。ただ、挙げていただいた情報自体はどこかに書く必要があると思います。書き手に知っておいて欲しい情報は 1.4 の後の方で、またより詳しい情報、またはシステムを作る人が知るべき情報なら 2 で取り扱うのはどうでしょう? + +> 木田:もしくは「混植の問題」に軽く触れるセクションを作ってもいいかもしれませんね。1.4.1で説明した日本語組版の元々持っている特質、これに全く性質の異なる欧文組版を組み合わせるときどのような問題が起こるか。 + +現代の欧文組版では、金属活字の時代に存在した物理的な活字ボディは存在せず、さらに欧文書体のデザインは、仮想ボディに厳密に制約されることがない。そのため、欧文にとっては、仮想ボディは位置決めの基準として特別な役割を何ら持たない。そのため、最初の行の行の垂直方向の位置を指定する際に基準として用いる位置には複数の選択肢があり得る。通常、次の内から選ばれることが多い。 + +* アセンダー +* キャップ・ハイト(大文字の高さ) +* x-ハイト(小文字の高さ) +* 仮想ボディの上辺 +* 欧文ベースライン + +例えば、ページや文字で構成される行で満たされるべき枠(フレーム)からの上辺から、最初の行までの距離が指定される場合には、その上辺から、上記のどれかの位置までの距離を指定することで、最初の行の位置が決まる。また、上記の基準位置の内、欧文ベースラインにおいて、全部ではないが多くのラテン文字の形状の一部が揃う。アウトラインフォントにおいては、各文字のボディの左辺(または字幅の左端)とベースラインとの交点が、文字の大きさの基準となり、拡大・縮小する場合の原点として用いられる。 + +欧文組版において、異なる文字サイズの文字が、同じ行中に組まれる場合には、特にそれ以外の方法が指定されない場合には、ベースラインを原点として文字サイズが変化する。 + +これらのことから、欧文組版においては、欧文ベースラインが特に重要な役割を担っていることが分かる。 + +それに対して日本語組版では、日本語の書き言葉におけるかな交じり文を構成する漢字と仮名文字のすべてのが、普通、正方形の全角等幅の仮想ボディまたは矩形の等幅の仮想ボディの範囲内でデザインされる。 + +また、横組みにおいて、ページや文字で構成される行で満たされるべき枠(フレーム)からの上辺から、最初の行までの距離が指定される場合には、その上辺から、仮想ボディの上辺の位置までの距離を指定することで、最初の行の位置が決まる。ページや文字で構成される行で満たされるべき枠(フレーム)からの右辺から、最初の行までの距離が指定される場合には、その右辺から、仮想ボディの右辺の位置までの距離を指定することで、最初の行の位置が決まる。 + +日本語組版において、異なる文字サイズの文字が、同じ行中に組まれる場合には、文字の揃えの位置を次から選ぶことができる。 + +* 横組みのとき、仮想ボディの中点を水平に貫通する直線の位置 +* 横組みのとき、仮想ボディの上辺 +* 横組みのとき、仮想ボディの下辺 +* 縦組みのとき、仮想ボディの中心点を垂直に貫通する直線の位置 +* 縦組みのとき、仮想ボディの右辺 +* 縦組みのとき、仮想ボディの左辺 + +欧文におけるベースラインに相当する、文字の揃え位置としては、日本語組版においては、横組み、縦組みそれぞれについて、3つの位置が存在している。 + +これらのことから、日本語組版においては、仮想ボディが特に重要な役割を担っていることが分かる。 + +>binn:強調の方法や約物の使い方,アラビア数字の使い方などでラテン文字組版との違いがある(必要かな?とも思うが示しておきます).主な事項を掲げる +ラテン文字組版での強調や外来語由来の名詞,文献表示にイタリック体を使う例が多い.日本語フォントも変形して文字を斜めにできるが,これはラテン文字のスラントともいえるもので,イタリック体ではない.そこで,日本語組版では,別の方法による例が多い.なお,数量を示すイタリック体の用法は日本語組版でも同様である. +  強調:ゴシック体または太字を使うなど +  外来語由来の名詞:カタカナを用いる +  文献表示:“”『』「」などの括弧類でくくる +約物の使い方:ラテン文字組版に学び,それと同じ約物を使う例(パーレン,ブラケット,コーテーションマーク,コンマ +(横組),ピリオド(横組),二分ダーシなど)があるが,日本語独特の例も多い.以下に主な例を示す. + 括弧類:『』「」〈〉〝〟〔〕(キッコウ,これはブラケットに似せて,主に縦組用に作られたが,横組でも使用されている,その用法はブラケットに似ている).なお,コーテーションマークは,横組でよく使用されていたが,『』「」と同じ用法なので,最近は,横組でも『』「」とする例が増えている.コンマとピリオドも,かつては,その使用は多かったが,最近はテン,マルが増えている.それは執筆者が多様化され,多くの人がさまざまの立場で書くようになったので,専門的な用法ではなく,一般的な用法の採用が増えてきたのかもしれない. +アラビア数字:ラテン文字組版の文中ではオールドスタイルの数字が使用されることが多い(ラインをそろえるため).これに対し,日本語組版の書籍等のノンブル(ページ番号)ではオールドスタイルの数字を使う例はあるが,本文ではライニング数字を使うことが多い(ラインをそろえる必要性が少ない). + + + + + + + + + + +*** +
+山本太郎さんのfirst draft + +firstドラフトを以下に記します。(これはfirstドラフトのため、日本語組版において、行長の指定方法で文字サイズの整数倍を以外を許容する必要のある場合、行頭揃え・行末成り行き(ラギッド・ライト)を日本語組版で許容する必要のある場合、(前期の2つの例外を許容することのできると考えられる)プロポーショナルの日本語フォントまたは疑似的にプロポーショナルにする仮名ツメなどについては、言及していません。(山本太郎、2023/09/06) + +1.4.1 日本語組版と欧文組版との比較 + +日本語の書き言葉では、漢字仮名交じり文が使われるため、日本語組版における主要な文字は漢字と仮名(平仮名と片仮名)となる。しかし、特に横組みにおいては数字には漢数字だけでなくアラビア数字が用いられることがある。また、句読点や括弧類などの記号類も用いられる。さらに、外国語(特にラテン文字を用いる欧米諸言語)の単語や文章が日本語のテクストの中に挿入される、いわゆる和欧混植の組版も頻繁に行われる。そのため、複数の異なる文字体系に属する文字が用いられることが、日本語組版の特徴の一つとなっている。 + +しかし、日本語組版に固有の性質の多くは、金属活字、写真植字またはデジタルフォントなどの文字の複製技術で用いられる漢字と仮名の形の特性に依存した日本の印刷活字(printing type)の伝統に根ざすものであって、欧文組版とは顕著に性質が異なる。 + +日本語組版において本文に用いられる漢字と仮名の文字のデザインは、通常、仮想的な正方形の内側の空間にデザインされる。したがって、それが印字・表示されて再現される時には、その正方形(全角の仮想ボディ)の幅と高さが、文字図形とその周囲の余白が占有する領域の幅と高さとなり、その幅はどの文字の場合でもすべて等しく、指定した文字サイズと等しくなる。このため、複数の文字で構成される1行の長さは、文字サイズの整数倍となり、行の長さ(行長)は1行あたりの文字数で指定される。 + +また、漢字と仮名の文字は全角の仮想ボディの中心に配置され、漢字の場合には、書体デザインによって異なるが、平均すれば、その仮想ボディの中で文字図形が占有する領域の最大範囲はおよそ90%かそれを少し超える程度である。大きめにデザインされた見出し用の書体などでは95%に達する場合もある。仮名の場合はそれよりも10%ほど小さくなる傾向がある。しかし、ラテン文字の場合は、本文の主要な構成要素となる小文字の高さ(xハイト)は、やはり書体デザインによって異なるが、平均すれば、全角ボディのおよそ45%ほどであり、小文字の上部のアセンダーの位置まで上方に伸びる画線を有する文字は26文字の小文字の内b, d, f, h, k lの6文字しかなく、下部のディセンダーの位置まで下方に伸びる画線を有する文字はg, j, p, q, yの5文字しかない。半数以上の小文字のxハイトの上と下の領域は空白のままとなる。このことは、日本語の漢字や仮名の文字図形が、全角の仮想ボディのほとんどの領域を占めていることとは大きく異なる。そのために、日本語組版では欧文組版におけるよりも、行と行との間(行間)に、より広い空白(行間空き)を挿入する必要がある。欧文組版ではxハイトが高い書体を用いても、最低限必要となる行間空きが文字サイズの50%を超えることは稀であるが、日本語組版では行間空きが文字サイズの50%ではむしろ本文では狭過ぎ、読みにくくなる場合が多く、文字サイズの75%以上の行間空きが一般に選好される。 + +漢字と仮名が正方形の仮想ボディの範囲内の中心に配置されることで、縦と横の2つの行方向の組版を、ごく少数の例外的な文字を除いて文字のデザインを縦・横の行方向に依存させることなく、効率的に行うことができる。 + +欧文組版では、単語と単語との間に空白(ワードスペース)が挿入され、改行する時にハイフンで単語を分割しない場合には、ワードスペースの位置で改行が行われ、行頭行末揃え(ジャスティフィケーション)を行う場合には、ワードスペースの量を調整することによって、1つのパラグラフのすべての行の先頭を一定の位置に揃え、段落最終行以外の行の末尾も一定の位置に揃える。ただし、文字と文字との間にスペースを加える調整は通常は行わない。それに対して日本語では、通常は単語と単語との間に空白を挿入しないため、ワードスペースは存在しない。禁則対象文字列などの例外を除けば、文字と文字との間には、それらの文字が何であるかによって改行が不可能となるような制約はない。日本語組版では欧文組版にくらべて、より多くの改行可能位置の選択肢が与えられる。 + +欧文組版においては、個々のラテン文字はそのデザインに最適な固有の字幅を持ち、きわめて字幅の狭い小文字のiなどから、広い大文字のWなどにわたって多様である。このことを字幅が「プロポーショナル」であると呼ぶ。しかも、改行可能な位置がワードスペースの位置に制約されるために、行ごとにその中に含まれる各文字の字幅の合計数は比較的大きく変化する。これは、行頭行末揃え(ジャスティフィケーション)をしない状態での正味の行の長さが行によって大きく変化することを意味する。そのため、ジャスティフィケーションを行った場合には、ワードスペースに対してなされる調整量も行ごとに変化し、ワードスペースが行によって不均等になる傾向が生じる。 + +このワードスペースの不均等を避けるために、欧文組版では、ジャスティフィケーションだけでなく、いわゆるラギッド・ライト(ragged right)と呼ばれる、行頭揃え・行末成り行きの組み方も行われる。これによって、ワードスペースを均等にすることができるが、上述の理由で、行によって行長の変化が大きくなる。このことによって、まさにはっきりと「ragged(不揃い)」に見える行末の形が得られる場合が多い。欧文組版におけるラギッド・ライトでは、行末がランダムに不揃いになり、印字面の濃度が行末に向かって漸進的に版面の外側に向かって希薄になっていく視覚的効果が期待される。 + +対照的に、日本語組版では漢字と仮名だけを用いる限りワードスペースは存在せず、文字と文字のどの間でも改行可能であるために、ジャスティフィケーションを行わずにラギッド・ライト組むと、ほとんどの行の行末が揃ってしまう。禁則処理が発生したり、欧文が挿入されている行だけで、行末が不揃いになるが、この場合でも、行中の文字の大多数を占める漢字と仮名の字幅がすべて等しいために、パラグラフ全体にわたって行長の変化は極めて乏しい結果となり不自然に見えてしまう。このため、短い見出しの場合や、著者・編集者・デザイナーが合意の上で意図的に、行ごとに視覚的に良好な改行位置を指定する場合を除けば、通常日本語組版においては、ラギッド・ライトの行揃えの方法は用いず、ジャスティフィケーションを行うのが一般的である。 + +[注 ここで「行頭行末揃え(ジャスティフィケーション)」と表記している行揃えの方法は、パラグラフ中のすべての行の先頭の位置を一定位置に揃えると同時に、パラグラフの最終行を除くすべての行末の位置を、必要に応じて、必要なだけ文字と文字との間のスペースを調整することによって、一定位置に揃える行揃えの方法にことを意味する。] + +
+ +*** + +### 1.4.2 横書き +横書き、和洋混植を基本にして説明。縦書きはより難しいので節を分ける。 +全角英字の扱いと問題点について触れる。横書きでは不必要? +「日本語組版における字間と行そろえ」[https://github.com/w3c/jlreq-d/issues/32](https://github.com/w3c/jlreq-d/issues/32) + +### 1.4.3 縦書き +・縦書きには横書きにない要素が加わる。縦中横。文字の方向。英数字の方向。など +・基本的に、縦横互換性のあるテキストを作る方向で。縦書きに特化する場合には、こうする、という感じで縦書きに独特な用法を紹介 +・全角英字の扱いと問題点 +・数字の扱い。アラビア数字、縦中横(とその桁範囲。それを超えたら横倒し)。 +・数字:漢字、全角を使う判断をする時。 +・箇条書き +・アクセシビリティの問題 + +### 1.4.4 ルビ +(ここでは日本語の二重構造の反映としてのルビを基本的な要素の一つとして扱う。行の折り返しよりも先にしておくと、ルビの中で改行できないことを自然に説明できる。) + +日本語には表記と読みの二重構造がある。固有名詞の読み方が決定できない問題。戸籍の例。この二重構造のため、ルビが古来からあること。カタカナに先行する。古来から、読みを示す目的、注的な使い方、両方があったこと。(英語での固有名詞の読みの曖昧性の問題が見つかれば例として示す、が欧米語は音が根本なので大抵スペルが違っちゃう) + +ルビの付け方。例えば総ルビ、ある基準でつける、初出のみにつける、といったこと。 + +折り返しができない場合に、長い単位につけると起こる問題。 + +アクセシビリティ的な配慮。 + +### 1.4.5 行の折り返し +基本的に和字の部分は例外を除いてどの文字の位置でも行を折り返すことができる。その方法。 + +単語もしくは文節で折り返す方法。子供用の絵本、詩、手書きの書などで見ることができる。 + +アクセシビリティ。 + +### 行の並べ方 +標準的な行間。行長によって最適な行間が変わってくること。行の長さの最小限、最大限。 +アクセシビリティ的な考慮 + +(この辺り以降、一つの小セクションの内容量が少ないなら統合する?) + +### 文節の作り方 +活字の伝統は固定幅両端揃え。固定幅の整数倍に行長を決め、両端揃えにする。 + +行頭揃え、いわゆるラグ組の方法はデジタルデバイスで一般的であり受け入れられつつある。(印刷でラグ組はある?) + +### 強調の方法 +太くする、ゴシック、傍線、圏点。「イタリック・Oblique」の方法は使わない。 + +### 見出し +見出しの組み方。サイズ。左揃え、中央揃え。 + +サイズを大きくすると、文字間が視覚的に大きく見える。本文用の書体は特に仮名が小さくデザインされており、この傾向が大きい。見出し用のウェイトや見出し用のフォントは文字の外枠に対して大きくデザインされているので、そのようなフォントを使う。もしくは文字間を狭く調整する。(例) + +特にタイトルやプレゼンなどの大きい文字において、文字の間の空間の大きさを均等に見せたい場合があり、そのために特定の文字の組み合わせに対して空間を調整するための値がフォントに組み込まれてい… または全体的な空間の開き方を調整したい場合がある。そのような場合には… + +### 箇条書き +箇条書きのラベルのサイズが異なる時、横書きでは下の端を合わせる?中心? + +### 文字の大きさ、行長と行間 +適切な範囲あり。長すぎると読み難いこと。(この手の一般的な意味でのアクセシビリティに関連する説明を折々に自然に入れてゆく)。最適な行間が行長によって変わること。 + +デジタルでは行長は可変であること。これが静的な印刷とデジタルとの大きな違い。 +敏先生の「字間と行間.txt」 [https://github.com/w3c/jlreq-d/issues/31](https://github.com/w3c/jlreq-d/issues/31) + +### 読みやすさへの考慮 +アクセシビリティ的な話。誰にとっても読みやすい条件。および、特別な必要性のある人のために選択のできることが重要なこと。その例。 + +テキスト含め日本のデザイン一般において、空きが、コンテントに劣らず重要視されてきたこと。紙面上の空間の取り方。どこで説明? ページの説明をしないので、別の場所で空間への配置方法について触れる必要がある。 + + +*** + +#### メモ +全角の中心にデザインされる = 文字の前にも空間がある = サイズを大きくしたときに違う文字の間で行頭が揃わない +ここの話題ではありませんが、和字が全角の中心にデザインされることは、サイズを大きくしたときに文字の間で行頭が揃わない問題を引き起こしますよね。プレゼンでとても気になります。これについて、どこかで触れたいです。 +